乳がんの統計
日本人が乳がんになる率は先進国の中では低いほうです。アメリカでは全女性の8人にひとりがに乳がんになると言われていますが、日本では25人から30人にひとりくらいです。とはいえ、毎年約3万5千人が乳がんにかかり、亡くなる人も1万人に近づいています。今や乳がんは、日本の女性が最もかかりやすいがんであり、30代になると子宮がんよりも乳がんになる方が何倍も確率が高くなるのです。
日本における乳がんの統計的な特徴は、30代後半から急に増えはじめ、40代後半でピークに達し、高齢になるにしたがって減少していくことです。しかし、最近は高齢者の乳がんが増えていく傾向にあります。
このような乳がん増加の背景にあるものは、日本人のライフスタイルの変化や食生活の欧米化といわれています。乳がんは女性ホルモンと密接に関係している病気です。最近の非婚傾向や高齢出産などのライフスタイルの変化は、乳がんの統計にも影響を与えているはずです。また、食事、とくに動物性たんぱく質の摂りすぎは、乳がんだけでなくいろいろな病気で指摘されています。今後、日本の乳がんは増え続け、2015年には、乳がんにかかる女性は年間5万人に到達するのではないかと予測されています。
女性のように発達してはいませんが、男性にも乳腺組織がありますから男性も乳がんになります。毎年、乳がんで亡くなる男性は70人前後いるようです。一般的には女性と男性は100対1くらいの割合といわれています。
乳がんは、以前は閉経前の人が多かったようですが、現在では閉経後の人も増えてきていて、ほぼ同じくらいです。欧米では、閉経前より閉経後のほうに乳がんが多く見られ、高齢になってからの乳がんが増加しています。
がんは、遺伝子に傷がついて起きる病気であるといわれています。先天的に遺伝子が傷ついている場合と、生活しているうちに遺伝子が傷つく場合に分けられます。
乳がんの大部分は、紫外線・放射線・薬物・環境ホルモンなどといった、種々の環境因子によって遺伝子に傷がついて起こると考えられます。また、エストロゲンという女性ホルモンの影響も大きいと考えられています。
遺伝子の変化はいつ起こるか予測できません。ただ、なるべく早く乳がんを発見したほうが、遺伝子の変化がひどくなる前に治療を開始することができるのです。
乳がんが発生しやすい場所ですが、一番多いのが乳房の外側上部、二番多いのが乳房の内側上部、三番多いのが乳房の外側下部、わりと少ないのが乳房の内側下部と乳輪下部となっています。乳房の外側で上のほうが発生しやすいようです。皮膚や粘膜に発生する扁平上皮がんは、角質形成が多い場合を高分化型扁平上皮がん、角質形成がない場合を低分化型扁平上皮がんといいます。
|